22/03 昨年の夏京都に3週間滞在したフランス人の友達とパリの日本レストランで再会。頼まれた書道用の筆と和紙の練習帳(扇型の素敵な紙)を渡す。この店の店員さんはすべて日本人で若いキビキビした人たち。フラ友が書道を勉強中と言うと「えっ?」という感じでどうもわからない様子。私の時代はお習字が小学校の必修科目だったが今はそうでもないようで、本当に残念なことだと思う。
それで思い出したが、フランスの学校では音楽の授業はないらしい。その代わりに地区に公立のコンセルヴァトワールがあり、安い授業料で手軽に好きな楽器を習い必修でソルフェージ等の授業も受けられる。音楽は誰もがやらねばならない勉強ではなく趣味で、(だから?!)本気でやるものなのだろう。
書道も同じなのかしら?私は嬉々として習ったわけではないが、授業があったおかげで硯・墨・大筆・小筆・半紙・文鎮などという用具とその使い方、字画・ハネ・トメ(だったかしら?)など字の正しい書き方の基礎がうろ覚えながら何となく身についたのが今になってとても有難いのだけど。
日本をえらく気に入ったフラ友は、今度は「日本の四季」を過ごしたい(奇しくも私の語学学校留学動機とまるで同じ理由)と、来年2月京都の同じホテルをすでに予約。奈良のお水取りと高野山行きが計画に入ったそうだ。
お互い好きな国への旅の思い出話は尽きなかったが、彼女が思い切ったように始めた話には思わず涙がこぼれた。幼い頃から厳しく育てられた彼女は、日本で「初めて、大人の人から親切に優しく世話をしてもらった」と言う。一般的フランス人の普通の生活をほんのわずかながら、経験的に知っている私には、彼女が当時フランスで育った環境と私の日本でのそれとの違いが十分に想像できる。
明るくて積極的、日本への憧れを表に出す彼女だから、他の人以上に出会った日本人から親切に応対してもらえたのは確かだが、それを差し引いても日本人本来の穏やかさや、慣れないでいる人に言葉がわからなくても何とか助けてあげる精神が彼女の心の琴線に届き日本への憧れが確かな愛へと昇華したにちがいない…。彼女が会った日本人に感謝!
私のフランス語よりもなお初心者の日本語で(英語はほとんど頼りにしていないと思う)、日本を無事にあちらこちら訪ね、これだけの心境に達すことができたのは、彼女が書道を一生懸命学び、日本研究をこつこつ続けてきたおかげでもあろう。来年の日本滞在ではどんな展開が待ってるだろう。楽しみ。
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