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風に乗って、面白い話題が飛んできます。〜色んな所〜色んな人から。はじめ時々〜後しばしば。

◎506 長続きの素敵なコンサート (最近 1)(2019/05/24)

♪♪♪ 12/05/2019 : オペラシティリサイタルホール
< 篠崎みどり& 浜田牧子 Piano Duo Concert >

♪ A. Scriabin (1872 - 1915)
2台ピアノのための幻想曲 イ短調 遺作
♪ R. Schumann (1810 - 1856)
ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
♪ A. Glazunov (1865 - 1936)
ピアノソナタ第1番 op.74 より 第2楽章
♪ J.S. Bach (1685 - 1750)
マタイ受難曲 BWV244 抜粋
♪ F. Poulenc (1899 - 1963)
2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ニ短調

私はここ数年前から5月のこの頃デュオ・コンサートを聴くのを楽しみにしている。演奏者お二人は桐朋学園の同級生で、20年前にデュオを結成して以来、毎年コンサートを催されていると聞いた。

コンサートにもふさわしいピアノ2台のための曲は、そう多くない。この日のプログラムのうち、2と3曲目のセカンド・パートは、篠崎みどりさんの編曲による演奏だった。好きなシューマンの五重奏曲をこうして2台のピアノで聴くのは初めてだったが、「2台のピアノのためのソナタ」というタイトルだとしても良いような素晴らしい編曲だと思った。

アンコールの「トルコ行進曲」、ボロディン「ダッタン人の踊り」も生き生きと元気なピアノ曲に生まれ変わっていた。すごい才能だなあ!客席にも伝わるほんわかとした雰囲気の仲良し同級生がこんなレベルの高いデュオ演奏で交流を深めていられるなんて、あるようで少ない。末長く聞かせてください。


◎505 ヨーロッパを感じるコンサート (遅まきながら 最近 2)(2019/05/12)

♪♪♪ 27/04/2019 : メロディヤ南青山
< Kenichiro Kojima Piano Recital>

♪ J.S Bach (1685-1750) : 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ> ニ短調 BWV1004   
1. アルマンド 2. クーラント 3. サラバンド 4. ジーク **5. シャコンヌ
 * 1- 4 : 児嶋顕一郎編 (左手のための) **5 : ブラームス編 (左手のための)

♪ Frank Bridge (1879-1941) : 3つの即興曲 
1. 夜明け 2.徹夜祷  3.大騒ぎの宴

♪ Sergei Bortkiewicz (1877-1952)
詩人 op. 29-5 婚礼の歌 op.65-3

♪ Felix Blumenfeld (1863- 1931) op.36
左手のためのエチュード 

♪ Elwin Schulhoff (1894-1942)
組曲第3番 
1.前奏曲 2. エアー 3. ジプシーの女 4. 即興曲 5. 終曲

目をつむって聴くと左手だけで演奏されているなんて想像もできないが、どの曲も左手のために書かれた音楽の演奏会。

♪ 最初の曲は、バッハの<無伴奏ヴァイオリンのための組曲>で、とりわけ有名な5番のシャコンヌは、ブラームスが左手のためのピアノ曲に編曲、1番から4番は、演奏者の児嶋顕一郎さん自らの編曲。♪ 2曲目、Frank Bridgeは、イギリスの作曲家、Benjamin Brittenの先生だった人。昨年、ブリテンの生徒だったピアニストの演奏で聴いたすてきなピアノソロ曲(両手)を思い出した。♪ あとは私には未知の作曲家の作品。『左手の作品』というジャンルが、19世紀からすでに存在し、少数であるとしても、優れた作品が残されていることを知ったことは新鮮な驚きだった。

確かイヴ・アンリ先生が、演奏会とマスタークラスのために初来日された年だと思う。高校生の児嶋顕一郎くんがレッスンを受講された。通訳をしながら、いいピアニストになられるだろうなと確信したことをはっきり覚えている。その頃彼はすでにドイツへの留学を考えておられ、卒業後すぐに渡独された。

ときを経て2017年、カワイのパウゼでの、入江一雄さんとの2台のピアノのためのコンサートに招かれ、久しぶりに演奏を聴かせていただいた。その折、2年前に右手局所性ジストニアを発症されたこと、それを機に左手のためのレパートリー開拓に取り組んでおられることを知った。

そして今日!左手のピアニストとして大成長されたコンサートを聴いて、月並みな表現だが、ほんと感涙にむせんだ。右手が自由に使えなくなっていった時の焦燥、絶望は想像に余りある。それなのにすごい!留学先にドイツを選ばれたことも本当に良かった。どの国よりも彼に合ってると思う。Kenichiro Kojima さんの今をもう少し良く知りたいとサイトを検索したら、何とウィキペディアに登場されていた。やはりすごい!

そのページの外部リンクから、公式ウエブ・You Tube・facebook に進めます。ぜひネットで(日本人+)ドイツ人であるKenichiroさんの音楽家人生の歩みを知り、魅力を発見していってください。堪能なドイツ語を聞くと音楽と言葉が密接に関係があることも実感されると思います。

私は、J.S. Bach “6 Sonatas and Partitas” の楽譜を読みながら、You Tubeで、 “左手のためのパルティータno.2” の演奏を聴き、編曲の秘密を探ります。楽譜は、Arthur Grumiaux の高弟、故小国英樹先生の書き込みいりで、アップボーをダウンボーに変えたり、ある音符にテヌート・スタカットの印が加わったりと、ヴァイオリン奏法の工夫がいっぱい加った楽譜。楽しみが増えて嬉しい!

人生におけるふとした出会いの幸運に感謝するこの頃なり!



◎504 ヨーロッパを感じるコンサート (遅まきながら 最近 1)(2019/05/10)

♪ 19/04/2019 : ベヒシュタインサロン汐留 ♪
<JOIE DE VIVRE>  Yves Henry, piano
 
「ショパン時代のサロンに原点を求めて、華麗なアンティークのピアノを囲み、少人数で至近距離から美しい音楽に浸るという贅沢な企画」のコンサートに招かれた。コンサートのテーマは <JOIE DE VIVRE> (生きる歓び)。

♪ ショパン<華麗なる大円舞曲> op.18 から始まり、シューベルト<楽興の時>、リスト<愛の夢>、シューマン<謝肉祭より>を経て、ショパン<マズルカ> op.33 no.2、シューマン<ロマンス op.28-2>、ドビュッシー<月の光>、<喜びの島>、後半は、ショパン<前奏曲よりno.1/4/16 >、ラヴェル<道化師の朝の歌>、サティ<ジムノペティ>、イヴ・アンリ<ノアンの蒼い旋律>、華やかなトリルで始まるショパンの技巧的な<ワルツ>op.42・・・。

「今夜は約100年前の美しいベヒシュタインピアノで演奏できることを嬉しく思います。私たちは先日ノートルダム大聖堂という人類の偉大な遺産を損失するという、ひどい不幸に見舞われました。多くの人が悲しんでいますが、そういう時だからこそ、美しい音楽で幸せな心を取り戻したいと思います。[・・・] 皆様と音楽の魔法のなかに浸っていきたいと願います。」・・・

イヴ・アンリ先生の演奏は、エレガントの極致!まさに"生きる歓び"と"音楽への深い愛"が溢れだす演奏!コンサートの主催者秋山エマさんの依頼で作曲され、2018年4月サントリーホールで初演、献呈された「ノアンの蒼い旋律」<La note bleue a Nohant >、をまた聴くことができて幸せだった。幼い頃からショパン・シューマン・フォーレ・ドビュッシー・ラヴェル・サティ達たちを自然に聞いて、習って、弾いてこられた末に結晶した作品にいたく感銘しました。

本物のすてきなサロン・コンサートを主催されたショパン・センター代表、
Emma and Takahide Akiyama さま、 Merci infiniment !!!


♪♪ 22/04/2019 : ベヒシュタインサロン汐留 ♪ ♪
<ノアンフェスティバル ショパン イン ジャパン ピアノコンクール 入賞者記念コンサート>

ユーロピアノ株式会社 (現ベヒシュタイン・ジャパン社)とフランスのノアンフェスティバル ショパン共催の第2回ピアノコンクール (2018年4月) で、6つの部門別に第1位から第3位を受賞された方たちによる演奏会。

有志の9人のピアニストが演奏。コンクールはショパン作品の演奏に限られているが、この日の演奏会では各人が好みのプログラムでのびやかに演奏、審査委員長のイヴ・アンリ先生は9人のそれぞれ音楽性豊かな演奏に最前列から惜しみない拍手を送られていた。最後に先生の賛助出演の演奏も加わり、聴衆は、ベヒシュタインピアノの多彩な音色にうっとり。会場全体を覆った暖かで知的な雰囲気は「ノアンフェスティバル」と似かよっていて嬉しいでした!

*ユニークなこのコンクールの第3回目は、2020年4月に開催されます。

* 要項等問い合わせ先:
 (株)ベヒシュタイン・ジャパン本社ショールーム(水曜定休)
 TEL : 03-3305-1211
E-mail : competition@euro-piano.co.jp
担当:佐々木・白川


◎503 Au milieu du chemin de la vie … 人生の道の半ばにて (10)(2019/04/10)

09/04/2019
《ああ、20年前にも、私は、いずれはそこに達しなければならないのを知ってはいた。私はそれを知ってはいたのだが、心に感じてはいなかった。当時の私は、人生の道のなかばを、シカゴへの道ほどにしか心に留めていなかった・・・》アナトール・フランスは、ちようど人生の半ばに達した41歳の時に、過去を振り返りこう述懐する。
 
 リハビリ室ではいつも数人の先生が担当の患者に接しておられる。5年前深い絶望感を抱えてここに来た私が案内された治療台で、一人の女性が治療を受けておられるのが見えた。ダラリ足がほんの少しずつ回復し、ついに普通の靴で歩けるようになった日のことを思い出し涙がこぼれた。どんな症状か知る由もないが、きっと快くなられる!
 すべての患者に対して、その人に合った治療を暖かく真摯に丁寧に施しておられる若い先生方は、もしかすると私たちの姿を通して、ご自身の人生の半ばはおろか晩年をも知っているだけでなく、心に感じておられるのだと思う。あの環境で読んだ「献辞」の一節々々が、今もしみじみと胸に響く。 

♪人生の道の半ばにて:アナトール・フランス/佐藤房吉/評論社
♪♪ありがとうございました!(おわり)


 

◎502 Au milieu du chemin de la vie … 人生の道の半ばにて (2019/04/09)

 ♪♪♪ 幸せな出会いS ♪♪♪
 さてリハビリ室には、様々な容態の方がこられる。車椅子を押してもらって、自分で上手に運転して、ノルディックポールや杖を持って、用具なしに手ぶらで歩いて・・・。リハビリのバイクを漕ぎながら、脳溢血の後遺症で右半身不随になられたという方と何度か話した。言葉も失われたが、何度かの入院の成果で楽しくお喋りができるようになられたそうだ。「まったく元どおりになれるとは思っていない。ただ現状維持だけを望んでいる。」同感!誰もが老いていくのだから、現状が維持できるということはすなわち最高の成果!
 私は5年前東京の病院で右膝の裏にできた小さな良性腫瘍をとってもらった。手術は成功と聞いて喜んだのに、麻酔から醒めた時右足先が麻痺し、だらっと下がったままであることに気づいた。神経が損傷された結果である。翌日プラスチックの補助器具を買わされ、それを履いて歩いて帰った。痛みがひどくリハビリ治療はいつからかと尋ねたら、「リハビリの必要はありません。3年後、5年後に治るケースもあります」とそっけない返事。
 こんなチャチな装具で一生歩くのは嫌だと必死で探し、銀座8丁目の「フリーゲート義肢装具研究所」を訪ねた。鯨岡久士社長はじめスタッフの丁寧な対応と優秀な靴作りで1ヶ月後に、装具の機能を靴の中に備え隠した格好いいブーツが完成。あまり疲れず普通に歩けることに涙。
 手術後すぐにキャンセルせざるを得なかったフランス、ノアン音楽祭に行く勇気が出た。パリでは友人が近所のジェネラル医の予約を取ってくれ、その医師に診てもらい、その紹介でキネ(理学療法士)の治療を数回受けることができた。こういう素晴らしい先生が日本にもおられるはずだと思いながら帰国後、鯨岡氏の紹介で整形外科医の矢野英雄先生に診察をしていただくことができた。やはりリハビリは手術直後から遅くとも3ヶ月以内に始めるべきだったことを知った。
 3ヶ月を少し越えた時期だったが、すぐにここの整形外科に入院を許され、理学療法と作業療法の先生の根気強い治療が始まった。パリのジェローム先生は日本にもいらした!3週間余が過ぎた頃から、足の先に力がついて麻痺が軽減し、ダラリ足先を少しずつ上げていられる時間が増えてきた。退院の日が近づいたある日、勧められるままに恐る恐る普通の靴を履いてみた。歩ける!あの日のあの瞬間を忘れることはできない。
 損傷した神経はもとに戻ることはなく、当然のことながら後遺症は残る。その上誰にでもおきる加齢ゆえのもろもろの現象は、弱いところから派生しやすいようで、腰が痛くなったり、右腕が後ろへ回せなくなったりと起こってくる。でもここに来ると、現状維持プラスだんだん良くなっていくんだなあ。あの不運が起こらなければ、好きだった登山もスキーも山を選んで続けていると思う。けれどもその後の幸せな出会いも生まれなかったと考えると、不運転じてありがとうの心境になることすらあるこの頃・・・。



◎501 Au milieu du chemin de la vie … 人生の道の半ばにて (2019/04/01)
♪♪♪ 日本のバーデン・バーデン ♪♪♪
 鯉が泳ぐ池 (昨年はカルガモの親子が住みついたという)と、丸いテーブルと椅子やベンチのある可愛らしい庭園、その奥のレンガ造りの建物に温泉浴室がある。温泉につかって窓を開けると、レンガの壁を伝って滝のように水が流れ落ち、地面の緑の草を湿らせる。ありがたいほっこりタイム!外から中から、3階や4階からこのレンガの建物群の風景を見るたびに、ヨーロッパの雰囲気を感じていた。退院が近づいたある日、OTの先生から、庭園にある銅像が、バーデンの温泉施設を理想として、この病院を創設された中村先生の銅像であることを聞いた。
 そういえば廊下の、部屋などの方向を示す表示板に「バーデン→」という記載があり、Baden(バーデン)って一体何だろうと考えたことがあったが忘れていた。バーデン= ドイツ語で浴場の意味でした!行ったことはないけれど、バーデン・バーデンは、フランスとの国境に近いドイツの有名な保養地。19世紀にはクアハウス (温泉浴場) やクアガルデン (温泉庭園) が整えられ、ブラームス、クララ・シューマン、ヨハン・シュトラウスが保養のために訪れていたらしい。フランス人の指揮者、ピエール・ブゥレーズは、2016年1月、この地の自宅で90歳の生涯を閉じられたことを思いだした。

 昨年、正面玄関の横に作られた広いバラ園もまさにヨーロッパ!たくさんの種類のバラが植えられ、入り口のスタート地点からゴールまで、要所々々に距離が記され、バラの花を見ながら歩行のトレーニングができるように道が整備されている。冬だから花は咲いていないが、ブルー・ローズ、しのぶれど、そしてなぜだか、チャイコフスキーなんていう名札を見ながら歩くのは楽しかった。病室の窓から、杖をついてゆっくりと何周も歩いておられる男性、バラの剪定と世話をなさりに来られる花屋さんの姿を毎朝拝んだ。5月ごろ花盛りのバラ園を想像し、バーデン理想郷への思いが、今もしっかり受け継がれているのだと思った。(つづく)



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