いろいろすることがあり毎日机に向かっています。先日フランス人の友人宅へ夕食に招かれた。彼女の家はなんと私が2000年の1年間、語学学校に通うために勇気をふりしぼってパリに来た時住んでいたガンベッタ駅(20区)の近くで、地図を見るとすぐそばにrue de Japon(日本通り)がある!いつも歩いていた大通りを曲がるとその道なのに全く知らなかった!向かいの公園も素通りしていた。どうして気がつかなかったかなど考えるまでもなく、緊張で身を硬くして余裕なく過ごしていた当時の自分をありありと思い出した。
左岸にある学校へ直通バスの便でひたすら往復するだけのあの頃を思い出すと情けないというよりその純情さが我ながら愛おしい。日本人とはほとんど交流しなかったし語学学校ゆえクラスには当然フランス人はいないから、実のある会話や付き合いは皆無だった。メールの送信に高い電話代がかかったし、変圧器を設置して通信ができる状態にできただけでも表彰ものの時代…。久しぶりにメトロの駅に降りた時の言いようのない感慨は自分にしかわからないものだろう。
友人は7階のテラスにアントレの小皿の数々とシャンパンを冷やして待ってくれていた。テラスの前にはパリの街が広がる。興奮の一語!8時太陽の光がまだまぶしく日焼けが心配なくらい。10時半ごろエッフェル塔の光に気がついた。メトロに乗ったのは12時を過ぎていたと思う。ガラガラの車両に若い人たちの屈託ない笑い声が響いていた。
彼女は8月に日本へ一人旅で来られる。MUJI(日本の無印良品の店がパリに数軒ある)の小さなノートに旅の情報がぎっしり書かれている。書道を習いテラスで松の盆栽、竹と紅葉に似た木を垣根のように植えているフランス人の日本旅が夢のとおりに進むことを願う。
京都に長く滞在、広島・宮島に行き富士五湖・東京を経て松島に行き東京には合計3日しか滞在しないという。初日を東京にしてくれたらいっぱい教えてあげられたのにと思ったが、一人旅は邪魔しないほうがいいに決まってる。「フランス人は日本では人気があるからprofiterしてね!」と別れた。*profiter=日本語にするのが難しい言葉。辞書では「利用する・得をする」だが、フランス語では損得というよりもっと広く良い意味で使うことが多く好きな言葉です。「あなたの日本滞在を profiter して = 出会った日本人とともに大いに楽しんでね!」という感じでしょうか。
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