3月12日~ 余震は続くし、原発のニュースから目が離せない。フランスの友から安否を聞くメールが届く。私の認識よりずっとシビアに伝わっていることに驚いているうちに、外国人が日本を離れているというニュースや、ドイツ大使館が大阪に移った(事実はあるセクションだけ移した)ということを、逆に教えてもらった。フランスのTVやウエブでは、日本のニュースが氾濫しているらしい。私には、フランス人の特派員が記名入りで日本から送っているラジオ・フランスのサイトが一番よく思われたので、そのサイトを教えた。
3月15日 これが来日の時に渡す予定だった本のタイトルと出版社名などです。きれいな表紙を添付します。少しなりとも気分転換になるといいのですが…Yves
表紙のリストとマリーの肖像画を壁にはり Bonjour, comment allez-vous ?
3月28日 電話で、フランスの友人に買って送ってくれるように頼んだ本が到着。すぐに本屋と郵便局に走ってくれ、その上、内容をちらっと読み、素晴らしい本だと太鼓判を押してくれた。Merci beaucoup ! 包みを解きながら、 心がぱっとあたたかくなり、幸せな感じに包まれました。
Correspondence Franz Liszt et Marie d’Agoult
Serge Gut et Jacqueline Bellas / Fayard
このスペクタクルの脚本ソースのひとつである書簡集、リストとマリー・ダグーの交わした562通の手紙が、くわしい注釈つきでまとめられた1344ページの本、ずっしり重い。
4月1日 海外のアーティストの来日中止が続いた…。あれ以来コンサートのテキストそっちのけで、もっぱら原発関連の報道の収集に明け暮れするうちに、こんな状態の日本でコンサートをしてもらうのは、先生に悪いのではないかと思うようになった。知りえた限りの日本の現状を説明して、コンサートの中止を考えていること、私自身のなえた気持を正直に書き送った。
4月3日 あなたの立場は完全に理解しています。それを完全に尊重しますから心配しないでください。すべての状況がよくなることを望んでいますが、どうなっていくかを正しく予測することは誰にもできないことでしょう。その上で言うのですが、ホール予約の最終期限まで、様子を見てはどうでしょうか。私自身の実現したい気持ちは変りません。ポジティヴな決定が来るのを待っています。少し変更したテキストとピアノの曲目を送ります。Yves
先生選曲のプログラムのすばらしいこと!聞いたことのない作品もある。「やっぱりやりた~い!」
4月4日 劇団ジエン社の「スーサイドエルフ インフレ世界」(日暮里d-倉庫)を見に行った。この時期、予定されていた公演をやめるのも、するのも、その決定の理由を発表せねばならないような雰囲気があった。いろいろな主宰者のそれぞれの宣言に心を打たれ、考えさせられた。
会場には、非常の場合の避難経路のわかりやすい図とていねいな説明が配られた。場内ほとんど満席、結局地震もなく無事に終了。笑いのある楽しい内容の劇ではなかったが、帰り道、不安な心が解消し、来てよかったとしみじみ思った。私もこういう若い人をみならって、何とかやれるのではないかと思ったのはこの帰り道…。
4月5日~ 希望を持てたものの、心と体は不安定で、言い知れない不安もまたはなれない。ただスペクタクルのテキストを読み、例の太い原書と照らし合わせてノート作りをする時間だけは、すべての心配ごとを忘れ没頭できた。ありがたかった。
4月25日 先生とユーロピアノ社の同意と励ましをえて、ついに決心。「やりま~す!」 遅いスタートをきりました。
4月26日~~~ スタートは切ったが、やることの何と多いこと!
(1)19世紀の、文章を書くことの大好きな人たちの手紙をもとにした文章は難しく、直訳するだけでもなかなか大変。その上、手紙や会話の年代等、注釈が書かれていない、翻訳者にとってはきわめて不親切な脚本で、例の太い書簡集や辞典類を参照しながら、テキストの行間を埋めることに集中した。本来はこういう形の研究が大好きなのだが、時間に迫られての勉強でシンドイ。けれども、太い本の500通以上の手紙の中から、脚本に使われている手紙を見つけたときの嬉しさは格別で、だんだん作者に感謝していたりして!
(2)内容が完全にわかってこそ、できる作業が多かった。チラシ製作は、その最たるもので、「チラシは作品の一つ、いいかげんは許されない、公演の中身をしっかりわかってから書くべし」と考える日本の俳優チームの助言や態度に教えられて、やっと原稿ができた。文字をずらっと並べただけの拙稿が手を離れて、どんなふうに変身するか・・・今は楽しみ、giocoso con spirito….
(3)必須のパソコン作業がいっぱい。きらいではないが、若い人に比べると、目に見えて遅いオソイおそい、molto Adagio….
6月7日 (4)(5)(6)・・・・・したがいまして、チケットはできていますが、チラシができるのは、もう少し先になります。
*チケットを、イープラスでお求めの方、チラシができたらすぐにアップします。
*王子ホールチケットセンターでお求めの方、チラシができたらすぐに発売を開始します。
*おなじく日仏音楽ぶらぶら散歩からも、お求めいただけます。問い合わせから申し込んでください。
しばらくお待ちください。それから先は、Lento ma non tanto を心がけます。